Flour Party
創作小説を載せています
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ボクは島から少し離れた海上を、ずっと回りながら飛んでいた。考え事をするといつもグルグルと回ってしまう。前に変なクセだと笑われたなぁ、とぼんやりと思った。と同時にアルのことも考える。
「助けるべきか、助けないべきか……でもなぁ、ボクと関わったらロクな目に合わないし、かと言ってここで見捨てて、死んじまったりしないよな? この島は初めてだから分からんぞ。アイツと会ったのも久しぶりだし……あーもう! 一体どうした方がいいんだよぉ!」
イライラして水面をバシャバシャと叩いた。
――いい? 困ってる人がいたら助けてあげるのよ。善い行いをするの。そしたら、人は自然とついてきてくれるわ。味方を、仲間をたくさん持って。もしも自分が困ったら、その人たちが必ず助けてくれるから――
「お母様……ボクは助けてほしくなんかありません。仲間なんかいりません。ボクは……ボクは……」
――独りでいいんです。
自分に言い聞かせるように小さくつぶやいた。目の奥がじんわりと熱くなる。でも涙はこぼれない。ボクはまた水面を叩いた。
「知らない! 知らない! 困ってるヤツなんか、アルなんかボクは知らない! あんなヤツ知るもんか! ボクには関係ない!」
飛び跳ねた水しぶきが顔や髪を濡らす。いつの間にかフードがとれていた。赤い髪が風になびく。忌々しくて愛おしい赤い髪。
もう一度強く水面を叩いた。