Flour Party
創作小説を載せています
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ベラが空を飛び回って、俺が闇雲に放つ雷を避けている。狙って放てば一発で仕留められるだろうが、集中している間に逃げられてしまう。今一番重要なのは、奴をこの場から逃がさないことだ。
「いい加減諦めて捕まったらどうだ!」
「冗談じゃないね。ボクは捕まる訳にはいかないんだよ! オメェが殺した彼のためにも……」
「俺が殺した? 思い当たる奴が多すぎて分かんねぇな」
俺は微笑を浮かべた。ベラは今、会話に夢中になってあまり動いていない。今なら狙って撃ち落とせる。俺はわざとベラを挑発した。
「戦争で死んだ奴か? あんきゃあいっぱい殺したからなぁ。一体誰のことだかさっぱりだな」
「彼は彼だ。村の人たちのことだってボクは忘れない。みんなボクの大切な人だったのに!」
「大切……? フッ、バカバカしい。いい加減学べ。てめぇと関わった奴は、例え会話をしただけでも殺すに値する。てめぇは存在してちゃいけねぇんだよ!」
「うるさい! 関係ないだろ!」
ベラが身を固め、力いっぱい叫んだ。もう十分だ。今の会話の間に狙いは定まった。もう逃がさないぞ、ベラ。
「これで終わりだベラ! “雷柱”」
太い柱状の雷がベラを貫く。ベラはこれぐらいじゃ死にやしないだろうが、体が痺れてしばらくは動けないだろう。俺は勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「楽しそうだね」
背後から聞こえた声に、俺の笑みは引き攣ったものに変わった。
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傘屋
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