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Flour Party

創作小説を載せています

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    島を出てしばらくすると、ずっと叫び続けていたアルが急に大人しくなった。やっと落ち着いたかと一安心する。正直言って、人を抱えて飛んでいる上に暴れられたらたまったものじゃない。正直もうクタクタだ。どこかで休めないかと辺りを見回しても、一面真っ青な海が広がるだけで、島影も何も見えない。
「君は誰? どうして僕の名前を? 神族って何? その翼は?」
    質問攻めに遭った。めんどくさくて小さなため息が漏れる。どう言ったら手短に分かりやすく伝えられるか。
「ボクの名前はベラだ。それと・・・キミは女神伝説を知ってるか?」
「知ってるよ。人間を守っていた女神が魔王に殺される話」
   ボクはうん、とうなずいた。あの話を知っていたら説明がだいぶ楽になる。
「その話は実話なんだ。それで、女神に力を分け与えられた一族を『神族』と呼ぶ。その中で、女神が予言したように力を濃く受け継いだ者たちのことを『神の使徒』と呼ぶ。ここまでは分かるか?」
   アルは小さくうなずいた。そのとき、丁度海面に浮かぶ小舟を見つけた。漂流でもしたのか、誰も乗っていない。もうだいぶ疲れていたから、迷わずアルを降ろし、ボクも縁にもたれかかるようにして座った。翼を背中に仕舞う。アルは少し驚いて、それ以上に話のことが気になったのか、それで? と首を傾げた。
「僕や君が、その神の使徒ってやつなのかい?」
「使徒は他にもたくさんいる。ボクは翼の能力を受け継いだからこの翼が生えている。ただし、キミは特別なんだ、アル。キミは女神の力を受け継いだんじゃなく、女神の生まれることのなかった御子の生まれ変わりなんだ」
    アルは少しだけ呆然としたが、すぐにこの海原に響き渡るほどの大きな声で叫んだ。

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パンドラの箱 第八話「神の使徒」 HOME パンドラの箱 第六話「大翼の少女」

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