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Flour Party

創作小説を載せています

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   大きな音がして、僕は恐る恐る目を開けた。体をあちこち触ってみるが、別にどこも怪我していない。目の前にいた大男は消えていて、代わりに現れた真っ白な何かに僕は目を奪われた。新月の闇の中でも、光っているかのようにはっきりと見えて目を引く。長く赤い髪が風になびいた。
「大丈夫か?」
   振り向いたその人は、あのフードの人だった。しかしフードは風に揺れ、その顔が露わになっている。深緋色の混じった金色の瞳と目が合った。一瞬怖くなって身をすくめる。少女は僕の手を引いて立たせてくれた。
「・・・きれいだ」
   僕は思わずつぶやいた。すると少女は怪訝そうな顔をして、綺麗なんて言うな! と怒鳴った。僕は肩をすくめる。ビクビクしていると、少女は大きなため息をついた。
「キミは男だろ? 情けないなあ」
    不意に大きな音がした。少女の背後に目をやると、崩れた建物からあの大男が出てきた。僕はまた悲鳴を上げる。
「いってぇなぁ! なんなんだてめぇ!」
    大男は叫ぶと同時に姿を消した。僕が呆気に取られていると、少女に腕をつかまれた。ふわりと浮かび上がり、地面から足が離れる。そして、僕たちのいたところの地面が、大男の斧によって砕かれた。サッと血の気が引くのを感じる。後ろでバサッと音がした。首だけで振り返った僕は息を呑んだ。あの白いものは、少女の背中から生えた大きな翼だった。
「つ、翼!? なんだそれ!?」
「うるさい。舌噛むぞ」
    少女は雄々しい口調で僕の言葉を足蹴にした。近くの建物の屋上に、乱暴に僕を降ろす。
「い、痛いです! なんなんですかあなたは!?」
「アル! 島を出るぞ。長居は無用だ」
   少女はまた僕の言葉を無視して、立ち上がった僕を背後から抱きかかえるようにしてがっしりとつかむ。
「どうして僕の名ま・・・うわああああああ!」
    少女は僕の言葉を遮って飛び立った。大男が遥か下で何か叫んでいる。その声は高さのせいか僕の悲鳴のせいか、全く聞こえなかった。

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