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Flour Party

創作小説を載せています

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   僕はいつも通り、まだ空が暗いうちに目覚めた。寝床の藁を整え、キッチンに出る。勝手に電気はつけられないから、テーブルに置いたランプの明かりだけで床を掃いた。ついでに水回りもきれいにする。あらかたきれいになると、買い物用のカゴとボロ財布を片手に外へ出た。
    市場まではかなりの距離があり、歩いていくと、着く頃にはたいへんな賑わいを見せていた。僕は立ち並ぶ品々を丁寧に、しかし早足で歩きながら見比べていく。真っ赤なリンゴは手に取り蜜を調べ、尻のにおいを嗅ぐ。きらびやかなペンダントなどは、奥様に似合うだろうなとは思いつつも、センスがない僕は立ち止まって眺めたりなんてしない。朝の市場で買っていいのは食べ物だけ。実際、それ以上のものを買うお金は持たされていない。
   必要なものを全て買い終わるとすぐに市場から離れた。人通りの少ない道を、カゴをあまり揺らさないようにしながら全力で走る。今日は目当ての食材がなかなか見つからなかったから、全力で走っても朝食の時間に間に合わないかもしれない。流れる汗も気にせず、ただひたすらに足を動かした。慣れた道で前を見ていなかったせいもあって、角を曲がったときに歩いてきた人とぶつかった。せっかく買ったリンゴが一個、宙を舞う。それを相手の人がキャッチしてくれた。素早く立ち上がりリンゴを受け取る。
「すみません。ありがとうございます」
   そう言って頭を下げるとすぐにまた駆け出した。
「・・・アル」
   名前を呼ばれた気がして、足を止めずに目だけで後ろを見た。そこには誰もいなかった。

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