忍者ブログ

Flour Party

創作小説を載せています

[21]  [20]  [19]  [18]  [17]  [16]  [15]  [14]  [13]  [12]  [11

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

    振り返った僕は大きな悲鳴を上げた。そこにいた人は、真っ黒なマントに身を包み、顔がわからないほど目深にフードをかぶっていた。たとえそれが僕の知っている人だったとしても、僕は同じように叫んでいただろう。その人は大きくため息をついた。
「わめくな。まだ上に奴がいる。聞こえてしまうだろう?」
   そう言って、その人は手で僕の口を塞いだ。僕はさらにパニックになり、逃げようと必死に暴れる。手を噛むとその人は手をひっこめた。その瞬間、僕は全力で逃げ出す。運のいいことに、僕は逃げ足だけには自信があった。あっという間にその人は見えなくなった。
「なんだったんだ、あの人は・・・」
   そう呟きながら前を向いた瞬間、目の前に大きな斧が落ちてきた。斧が刺さって、コンクリートの地面にひびが入る。ギリギリのところで当たりはしなかったが、僕の心臓はバクバクと大きく脈打った。
「ぎゃああああああ!!!」
   悲鳴を上げてその場に立ち尽くす。斧が持ち上げられるのに連れられて顔を上げると、新月の闇の中に立つ、角の生えた大男と目が合った。僕はまた叫んだ。
「てめぇ・・・なんで気付いた? 完全に気配を消していたってのに、てめぇ、気付きやがったな? てめぇがあの、神族か。胸糞わりぃ! 殺す殺スコロス!! 神族は皆殺しだぁ!」
    男は叫びながら斧を振り下ろした。僕は恐怖で体が固まって動けない。それでも声だけは出続けた。
「ぃやああああああああああああああああああ!!!!!!」
    目の前に斧が迫った瞬間、僕は死を覚悟して、ギュッと目をつぶった。

拍手[0回]

PR

この記事にコメントする

お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード
携帯用絵文字   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

パンドラの箱 第六話「大翼の少女」 HOME パンドラの箱 第四話「常闇の訪問者」

HN:
傘屋
性別:
女性
職業:
学生
趣味:
読書・ゲーム
P R

忍者ブログ [PR]
template by repe